梨が野菜になるわけないじゃん。それじゃこの話はなし。って事になるのである。
和梨(有りの実)は果物、果肉は白色、甘くて果汁たっぷり。特に尻側が甘みが強く、芯の辺りは酸味が強い。個人的には酸味が強くてもオッケーだ。シャリシャリしているのが苦手だ!っという人もいるが・・・。
苦手なのは花の香りのほうだ。さすがバラ科、すごく上品な可愛らしい花なのに・・・。トゲならぬ匂いがあったのである。
もう何年も前のことになるが、梨畑を閉じることにした親戚から切り花を貰った。車のトランクに沢山積んで家に着いた。大振りの花器に豪華に飾り。しばし家族でうっとり・・・と、ここまでは良かったのだ。
口火を切ったのは父だ。クセー!クセー!その花捨てろー!クセー!クセー!・・・もっと言い方があるんじゃないの?確かに臭かったのだが、母には懐かしの香りである。まあ、家の中に飾るものではないのである。ましてや量が多かったのだ。ここから火の粉がいろんなものに燃え移った。大火事である。収まるまでしばらく時間を要したのは言うまでもない。ひどい話だ。が、花には罪はないし、花を咲かせないことには、あの美味しい梨は味わえないのである。
子供の頃、収穫の時期にお手伝いすると言って畑に入れてもらうと、腰につけた大きな竹籠に重くて色のいい梨をどんどん入れていく。虫が食った梨は虫を取って自分が食べる。梨食べ放題!!畑で食べる梨は生温かく、そんでもって美味いのである。口から飛び出しそうになるくらい食べた。虫が食っちゃうよりお手伝い?が食っちゃうのだ。へへへ・・・。お手伝い?の後はもうご飯が食べられない。とは言えそんなに沢山食べられる物でもないのだけれど。うー懐かしいなあ。あの頃食べた梨は、長十郎、二十世紀、幸水かな。
桃栗三年柿八年、梨のバカやろ十八年って聞かされて、育てるのがものすごく大変だと思っていたのだが、今や開発が進み交配交配で割と早いスピードで沢山の品種が作られて、もう名前も味も覚えられないほど増えてきた。
美味しい梨で溢れかえっているわけなのだが、美味しい梨も、酸っぱい梨も、たまーに出会うあんまり味のない梨も、塩を振るとスイカになってしまう。という話である。食べ飽きるくらい梨食べたーっていう人(あんまりいないと思うけれど)、あれれ、薄味の梨に当たっちゃったっていう人、冷蔵庫で冷え冷えにして、塩を降っただけのスイカ梨。シャリシャリして夏におすすめなので、どうぞ食べてみてください。(梨には悪いがスイカ〈野菜〉になってしまうという話である。)美味しいよ。